薬機法(旧薬事法)におけるのど飴の位置付けとは?

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薬機法(旧薬事法)というと、医薬品に関する法律であるというイメージを持っている方が多いかもしれませんが、実はそれ以外にも様々な製品に適用されることがあります。ここでは、同法の目的や内容について説明した上で、それが適用される可能性がある「のど飴」を例にとって、製造や販売するにあたって注意しなければならないポイントを見ていくことにします。

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薬機法の概要

薬機法というのは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などについて幅広く製造、販売、安全対策等に係る規制を設けている法律です。

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」というのが正式な法律名で、「医薬品医療機器等法」と呼ばれることもあります。一般的には医薬品についてのルールを定めた法律というイメージを持たれがちですが、実際には前述の通り、それ以外の様々な製品について適用されるので、適用対象になり得る製品の製造や販売を行う場合には、法令違反にならないように注意しなければなりません。

関係ないと思っていたら薬機法違反に問われて処分を受けるケースは少なくないという点を頭に入れておくようにしましょう。

薬機法の沿革

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日本における薬品類の規制の歴史は古く、江戸時代後期にあたる18世紀前半には、すでに薬品検査所における検査に合格していない薬品の販売が禁じられていました。明治時代になると、売薬取締規制や薬剤取締之法が施行され、現在の薬局や薬剤師、薬価制度などの礎が築かれることになります。

その後、日中戦争の開始を受けて戦時体制に移行すると、生活必需品である薬品類も厳格な価格統制の対象となり、日本医薬品生産統制株式会社や日本医薬品配給統制株式会社の下に一元的に管理されるようになりました。このような事態を受けて制定されたのが、「薬事衛生の適性を期し国民体力の向上を図る」ことを目的とした薬事法で、これは一般的に「旧々薬事法」と呼ばれています。

終戦後は、戦時体制が解かれ、それに伴って薬品類の規制についても大幅な見直しが図られます。1948年には、新たに薬事法(「旧薬事法」と呼ばれます)が施行され、政府による許可制が大幅に削減されて、医薬品の製造や流通を事業として行うためには、政府または都道府県知事への登録が必要になりました。

この旧薬事法は、1960年の国民皆保険への移行を受けて廃止され、新たに同名の薬事法が施行されます。新薬事法では、医薬品販売業を、一般販売業、卸売一般販売業、薬種商販売業、配置販売業、特殊販売業に細分化し、それぞれについて細かな規制が設けられることになりました。

その後、1990年以降になると、医薬部外品や化粧品などの規制の追加をはじめとする様々な見直しが行われます。さらに、2013年に公布され、翌2014年に施行された「薬事法等の一部を改正する法律」において、疾病診断用プログラムや疾病治療用プログラム、疾病予防用プログラムなどがそれらの記録媒体とともに規制対象になった際に、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)に改称され、現在に至っています。

薬機法の目的と規制対象

薬機法の目的の一つは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の品質や有効性、安全性を確保するとともに、それらの使用による保険衛生上の危害の発生や拡大の防止のために必要な規制を行うことであるとされています。

また、それに加えて、規制ドラッグに含まれる成分などの指定薬品について規制したり、医薬品や医薬機器、再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講じたりするのも、同法の目的です。

かかる目的を達成するために、薬機法では医薬品だけでなく、医薬部外品や化粧品、医療機器、再生医療等製品についても幅広く規制対象にしているのです。

医薬品・医薬部外品の定義とのど飴の該当性

ここからは、薬機法の規制対象のうち、医薬品と医薬部外品の定義を見た上で、のど飴の該当性について説明します。まず、同法によると、医薬品とは、疾病の診断や治療、予防等に使用されることが目的のものであるのに対し、医薬部外品とは、医薬品に比べると効果が緩やかで、配合する薬剤により効果や効能が決まるものであるとされています。

一方、のど飴については業界内に明確な定義は存在していませんが、その中にはハーブエキスなどを配合して疾病に対する一定の治療等の効果を有するものが少なくありません。そのため、一概にのど飴が薬機法の規制対象になるかどうかは断言できないものの、その効果や効能によっては医薬品や医薬部外品に該当し得るケースがあるという点を頭に入れておくとよいでしょう。

薬機法の適用対象になる場合の注意点

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では、製造や販売をしようとしているのど飴が医薬品や医薬部外品に該当する場合には、どのような点に注意しなければならないのでしょうか。まず忘れてはならないのが、医薬品や医薬部外品の製造、販売には厚生労働大臣や都道府県知事の許可や登録が必要になるという点です。

必要な手続きを怠ると法令違反になってしまうので、ガイドラインをよく理解する専門家に相談しながら漏れのないように対応するようにしましょう。また、それに加えて、広告宣伝を行うにあたっても注意しなければならないことがあります。

医薬品や医薬部外品について誤った情報が流されると、消費者が用法を間違えたり、効果や効能を過度に期待して必要な治療を受けずに症状が悪化してしまう恐れがあるため、薬機法は厳格な広告規制を設けているのです。具体的には、名称や製造方法、効能、効果、性能に関する虚偽・誇大広告は明示的なものか暗示的なものかを問わず、一律に禁止されています。

例えば、明確な根拠やデータなどが示されていないにもかかわらず、パッケージに「風邪に効く」などと記載したり、製品のホームページ上で「効果は確実」といった誇張した表現を用いると、故意かどうかを問わず違反に問われる恐れがあるので注意しなければなりません。

のど飴は薬機法の規制対象になり得る

以上で見てきたように、薬機法は、医薬品等の製造や販売について厳格に規制することによって消費者の健康を守ることを目的にしています。その適用範囲は意外と広く、のど飴についても製品によっては規制対象になる可能性があるので、その製造や販売にあたっては、くれぐれも法律違反にならないように気をつけなければなりません。

参考資料→薬事法ドットコム ... 薬事法ドットコム | 健康美容ビジネスにおける薬事法の様々な規制(広告・通販など)。リーガルマーケティングという「攻め」と「守り」の戦略を提供できる日本で唯一の会社、それが我々薬事法ドットコムです。